第10回セミナーでテーマになった分野の現状について

第10回信濃川・浜名湖国際病理研究会セミナーにおいてテーマになったのは、現代社会と医療、医学教育における剖検の役割およびその知識と技術、というものでした。信濃川・浜名湖国際病理研究会において発表された内容とも重なりますが、病理解剖という分野の主な役割は、医学教育や医療などを基礎的な側面から支えることであり、この分野は社会や医療に対して大きな貢献を果たしてきました。

しかし、社会と医療が急速に変化する現状に対応するため、病理解剖の制度や内容をどのように改善するのかという点が、一般的に大きな問題となっています。病理解剖をとりまく様々な問題を考えた場合、臨床医は患者様の病気の診断と治療に全力を尽くしていますが、現状として必ずしも全てが解明されているわけではありません。

様々な未解決の問題を抱えているケースが多く、これらの問題解明の一助となる手段が病理解剖です。そのためには、信濃川・浜名湖国際病理研究会などの活動を通じて、病理解剖に関する知識や技術を高めていくことが求められています。亡くなられた患者様の臓器を直接的に確認することで、病理医はその患者様の病気の実態を調査します。

また治療がどの程度うまくいっていたのかという点や、何か問題点はなかったのか、ということも明らかにしていきます。しかし、病理解剖をすれば全てが判明するわけではなく、最後まで亡くなった原因が掴めない場合もあります。ただし、原因不明の死因だという結果が出ても、病理解剖を行っているのか行っていないのかによって、そこには大きな違いが生じます。病理解剖の結果は、臨床病理カンファレンスで検討されます。

そこで臨床医や病理医が集まり、解剖した結果について詳細まで検討しています。このようなデータが蓄積されることで、死因究明にもつなげられています。医療従事者であれば、よく理解されていることですが、医学そのものにおいても完全で完璧であるということが確実に言えるわけではありません。何らかの問題を抱えている可能性があるのなら、遺族に対して亡くなられた患者様の解剖の許可をとるようにしています。

遺族と亡くなられた患者様のためにも、医療業界において病理解剖に関する知識と技術を高めていくことが課題になっており、この点において信濃川・浜名湖国際病理研究会の活動には大きな意味があります。